「アートディレクターってどんな仕事?」
「アートディレクターになるにはどうしたらいいのか?」
と疑問に思っている方もいるでしょう。
そこでこの記事では、アートディレクターの仕事内容やなり方について解説していきます。
アートディレクターに興味がある方、将来アートディレクターとして働きたい方は、ぜひ参考にしてください。
記事の概要
イラスト業界に興味のある方へ
アートディレクターとは?
アートディレクターとは、雑誌やWebサイトといったデザインにかかわる制作物に対して、責任を持つ仕事を指します。
一般的には広告代理店・デザインやゲームの制作会社などで活躍しており、さまざまな制作物にはアートディレクターの存在が欠かせません。
アートディレクターはデザイナーやコピーライター、フォトグラファーなどクリエイティブを担当する人が集まったチームで全体指揮を取り、制作物の最終的な責任を負います。
アートディレクターの主な役割は作品を完成に導くため、チーム内の仕事をチェックしながら、スケジュールの管理などのディレクションやマネジメントを行うことです。
アートディレクターの仕事内容
アートディレクターの仕事内容は、大きく分けると次の4つです。
- クライアントとの打ち合わせ
- チームメンバーとの打ち合わせ
- 進捗の管理
- 納品物の確認
それぞれ順番に説明していきます。
クライアントとの打ち合わせ
営業担当やプロデューサー、プランナーなど制作に携わるスタッフと一緒にクライアントと打ち合わせをします。
要望をヒアリングしてコンセプトやデザインの方向性を決定するのも仕事です。
要望が変更になるとプロジェクトの進捗にも影響をおよぼすため、表現内容や目的が固まるまでは、ミーティングを何度も行います。
チームメンバーとの打ち合わせ
クライアントとの打ち合わせで表現する内容やコンセプトが明確になれば、デザイナーやカメラマン、コピーライターといった制作に携わるスタッフを集めて、製作チームを結成します。
また、チームメンバーに対して、クライアントと決めたコンセプトやデザインの方向性を共有し、デザイン制作を行います。
進捗の管理
作成している段階で方向性が間違っていないかチェックをしたり、制作状況を管理したり、クライアントと打ち合わせしたりなど、プロジェクト全体の進捗管理も行います。
もし進捗が遅れている場合は、メンバーを増やしたり、シフトを調整したりします。
納品物の確認
完成した成果物の全体の仕上がりを見て、クオリティが保たれているか確認します。コンセプトに合わない場合やクオリティが足りていないときは、修正を指示します。
成果物を納品して、クライアントから合意を得られれば業務完了です。
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アートディレクターとデザイナーの違い
アートディレクターとデザイナーはデザインに関する知識が必要なのは同じですが、仕事に対する立ち位置が異なります。
アートディレクターとデザイナーの違い | ||
---|---|---|
職業 | アートディレクター | デザイナー |
役割 | ディレクションを行う | デザイン制作を行う |
アートディレクターはデザインだけではなく、チームを率いてディレクションを行いながらプロジェクトを進める仕事です。
一方で、デザイナーはアートディレクターの指示のもと、クライアントから求められるコンセプトをデザインで表現する仕事です。
なお、アートディレクターの中でも、自ら手を動かしながら制作に関わるケースもあるので、必ずしも上記のように差別化できないこともあります。その場合「アートディレクター兼デザイナー」と呼ばれます。
アートディレクターになるには?
アートディレクターになるには、以下の3つの方法があります。
- 専門学校で知識とスキルを身につける
- 映像制作会社やゲーム制作会社へ就職する
- 大学で学ぶ
それぞれ解説していきます。
専門学校で知識とスキルを身につける
アートディレクターになるためには、デザイン全般に関する知識とスキルを身につけなくてはなりません。専門学校は、大学に比べると実習が多いため、実践的なスキルを短期間で身につけることができます。
数多くある専門学校の中でも、「東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校」の「イラスト&キャラクターデザイン専攻」では、次の内容のスキルが習得可能です。
・デッサン
・ポートフォリオ作成
・映像制作
これらのスキルを身に付けると将来的には、次のような職業への就職が可能です。
・イラストレーター
・グラフィックデザイナー
・グッズデザイナー・グッズプランナー
・コンセプトアーティスト
・アニメーター
・デジタル作画・デジタル動画
このように、デザインおよびアニメ―ションに関わる仕事への道が開けます。上記のような職業で経験を積みながらアートディレクターを目指すことが可能です。
「体験入学」では、校舎の見学をしたり、授業を体験できたりします。また、個別相談も行っています。
「オンライン説明会」も随時実施しています。自宅で興味がある分野の授業を体験していただけます。
映像制作会社やゲーム制作会社へ就職する
映像制作会社やゲーム制作会社に就職して、手を動かしてデザインを学ぶのもスキルを身につける方法です。
制作会社では、チームで仕事する機会が多く、アートディレクターに必要な能力のディレクションを経験できます。
実際に現場に入って、クライアントと打ち合わせを、実践的にコミュニケーション能力やスケジュール管理能力も学べるでしょう。
しかし、就職してもデザインの専門知識や経験の不足から、下積み期間は長くなる場合があります。また、高卒で就職した場合、専門学校や大学の卒業生に比べて給料が上がりにくいケースもあります。
大学で学ぶ
大学の美術学部や造形学科に進学する方法です。大学によってはアートディレクター全般の知識を学ぶことのできる学科もあります。
デザインの造形に関する知識や、色彩・形態・素材・構成、タイポグラフィの基礎を習得すると共に、コンピュータの基礎を学ぶことも可能です。
ただし、専門学校に比べると実習は少ない傾向にあります。大学は「座学を中心に学びたい」という人向けです。
美術学部や造形学部の学費は初年度は入学金を含めて180万円〜200万円弱、2年目以降は150万円〜170万円かかります。
専門学校の初年度の学費は入学金を含めて150万円〜160万円です。専門学校に比べて大学は学費が割高になります。
専門学校は大学に比べて学費も安く、実習が豊富なので専門的なスキルを習得する期間も早まるでしょう。
アートディレクターに向いている人
アートディレクターに向いているのはどのような人なのでしょうか。以下のような人が向いているでしょう。
・勉強熱心な人
・マーケティングの視点もある人
アートディレクターとして活躍するためには、チームの責任者として指示をすることが求められます。そのため、高いコミュニケーション能力は必須です。
また、デザインは最新の流行やファッションを取り入れる機会が多いので、常に新しい情報をキャッチできる姿勢が求められます。そのため、知識のインプットを怠らない勉強熱心な人もアートディレクターに向いていると言えます。
さらに、デザイン全般の知識やスキルのみならず、マーケティングの視点を持っていることも重要です。「こうすれば売れる」というマーケティングの視点を持っているアートディレクターは、お客様満足が高くなりやすいからです。
アートディレクターに独学や未経験でなるのは難しい?
アートディレクターに独学や未経験でなるのは、難しいのでしょうか?結論からいうと難しいです。
多くのアートディレクターの求人では「アートディレクターとしての経験」が求められます。
制作物は、さまざまなクリエイター達がチームを組んで制作を行います。
アートディレクターはクライアントの要望をヒアリングしながら、チーム全体を指揮して制作を進めます。クライアントとの対応や現場指揮の経験を積む必要があるため、独学や未経験でなるのは難しいです。
アートディレクターに必要なスキル
アートディレクターになるためには、主に次の4つのスキルが必要です。
- デザインに関する専門知識と経験
- コミュニケーション能力
- スケジュール管理能力
- デザインソフトの操作スキル
それぞれ解説していきます。
デザインに関する専門知識と経験
アートディレクターはデザインのディレクションを行います。そのため、デザインに関する専門知識と経験が必要となります。
デザインに関する専門知識や経験がないと専門用語の意味がわからなかったり、指示を間違えたりする恐れがあります。
また、クリエイティブ職が集まるチームを率いるので、クリエイティブ職としての経験と能力が必要です。
コミュニケーション能力
アートディレクターは数多くのコミュニケーションを取る必要があります。
コミュニケーションが必要な相手はクライアントや、チームメンバー、プロデューサーなど全方位にわたります。
指示は、自分の中のデザインイメージを言語化して明確に伝えることが求められます。また、相手の持つイメージを汲み取る傾聴力も必要です。
スケジュール管理能力
アートディレクターには制作物を納期までに仕上げて納品する責任があります。
全体の進捗管理を行うため、スケジュールの管理能力が求められます。「この仕事はいつ終わる」「次の工程の準備には何日かかる」というように工数を管理する能力が必要です。
デザインソフトの操作スキル
制作チームにデザインに関する指示出しをする際、言葉だけでなく実際に手を動かすケースもあります。
報告されたデザインイメージについて、コンセプトが違っており修正指示を出す際など、自らもデザインソフトを使い、具体的なデザインイメージを伝える能力が求められます。
アートディレクターに必要な資格は?
アートディレクターに必須の資格はありません。しかし、以下の資格を取得しておくと就職に有利になるでしょう。
- Photoshop®クリエイター能力認定試験
- Illustrator®クリエイター能力認定試験
それぞれ解説していきます。
Photoshop®クリエイター能力認定試験
Photoshop®クリエイター能力認定試験はAdobe Photoshop®に関する知識やスキルを測る検定です。
試験の概要は、以下の表の通りです。
Photoshop®クリエイター能力認定試験の概要 | ||
---|---|---|
スタンダード | エキスパート | |
受験資格 | 誰でも受験可能 | |
料金 | 7,600円 | 8,600円 |
試験時間 | 1部(実技):40分
2部(実践):90分 |
1部(知識・実技):50分
2部(実践):90分 |
合格基準 | 実技:65%以上
実践:70%以上 |
知識・実技:65%以上
実践:70%以上 |
出題範囲例 | <1部>
・Adobe Photoshop®の基本操作による画像の作成 <2部> ・Adobe Photoshop®を使った作品制作(1テーマ) |
<1部>
・Adobe Photoshop®および画像処理に関する知識 ・Adobe Photoshop®の操作による画像の作成 <2部> ・Adobe Photoshop®を使った作品制作(1テーマ) |
アートディレクターを目指すのであれば、スタンダードの資格ではなくエキスパートを取得しておくのが望ましいです。
Illustrator®クリエイター能力認定試験
Illustrator®クリエイター能力認定試験は、Adobe Illustrator®に関する知識やスキルを測る検定です。Adobe Photoshop®と同様に難易度別にスタンダードとエキスパートの2種類あります。
試験の概要を表にまとめました。
Illustrator®クリエイター能力認定試験の概要 | ||
---|---|---|
スタンダード | エキスパート | |
受験資格 | 誰でも受験可能 | |
料金 | 7,600円 | 8,600円 |
試験時間 | 1部(実技):40分
2部(実践):90分 |
1部(知識・実技):50分
2部(実践):90分 |
合格基準 | 実技:65%以上
実践:70%以上 |
知識・実技:65%以上
実践:70%以上 |
出題範囲例 | <1部>
・Adobe Illustrator®の操作、DPTファイル、Webデザインパーツの作成(テーマ別大問7~9問) <2部> ・作品制作(1テーマ) |
<1部>
・Adobe Illustrator®、DTP、Webデザインに関する知識(テーマ別大問4~6門) ・Adobe Illustrator®の操作によるDTPファイル、Webデザインパーツの作成(テーマ別大問4~6門) <2部> ・作品制作(1テーマ) |
アートディレクターを目指すのであれば、Adobe Photoshop®と同様にエキスパートを取得しておくと良いでしょう。
アートディレクターの収入!給料・年収は?
求人サイトによると2022年7月29日の調査では、アートディレクターの仕事の平均年収は、約499万円となっています。
国民全体の令和2年度の平均年収約433万円よりも高い数値となっています。
引用:求人ボックス
引用:国税庁令和2年分民間給与実態統計調査
就職先の会社の規模、本人のスキルや実績によって年収は変化します。アートディレクターとして独立して成功すれば、年収1,000万円も狙えると言われています。
アートディレクターのやりがい
アートディレクターのやりがいは、主に以下の3つです。
・クライアントが制作物に満足してくれたとき
・制作物が世間に評価されたとき
チームが一丸となって作った制作物が完成したときには、大きな満足感を得られるでしょう。
クライアントが制作物に対して満足してくれたときも、やりがいを感じる瞬間です。
また、制作物が世に出て評価されると「多くの人に見てもらえて嬉しい」という気持ちになります。
アートディレクターの将来性
アートディレクターの将来性はどうなっているのでしょう?
近年、人々が接する情報量はますます増えています。実際、総務省が発表した「令和2年版 情報通信白書|データ流通量の推移」でも、ほぼ毎年データ流通量は増えているという結果が出ました。株式会社サイバーエージェントが行った「2021年国内動画広告の市場調査」でも、動画広告の市場規模は成長しており、2021年は4,195億円、2025年には1兆円の規模になるというデータが出ています。
動画広告が増える中でビジネスをするには他社に埋もれないように、訴求力のあるデザインを作れる人材は重宝されるでしょう。
成長している市場で働けるアートディレクターの将来性は明るいと言えそうです。マーケティングの知識を持ち、商品やサービスの訴求力を高めることができるアートディレクターの需要はますます高まっていくと予想できます。
アートディレクターになりたいなら専門学校で学ぼう
アートディレクターはクリエイターチームを組んで、制作物を作成することが多いです。そのため、デザインに関する専門知識やスキル、コミュニケーション能力やマネジメント力を身につける必要があります。
デザインの専門知識やスキルを習得するには、東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校の「イラスト&キャラクターデザイン専攻」でデザイン全般の知識を学ぶのがおすすめです。
産学連携プロジェクトにより、在学中から現場を経験できます。プロの講師から指導を受けられます。さらに、最新設備も揃っているので、即戦力として活躍できる人材を目指せます。
「体験入学」では、業界説明や実際にレッスンを利用でき、個別相談をすることも可能です。
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アートディレクターとして自らが考えたコンセプトをもとに、チームで制作物を作り、クライアントに満足してもらえる作品を完成させましょう。