舞台で演劇やミュージカルを観たことがある方なら、テレビドラマや映画では感じられない、舞台ならではの感動をご存知だと思います。
「自分も舞台で表現したい!拍手を浴びたい!」「でも舞台俳優ってどうやってなるんだろう」と考えたことはありませんか。
この記事では、舞台俳優の仕事内容や必要なスキル、年収について解説します。
「将来は売れっ子の舞台俳優になりたい!」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
記事の概要
声優業界に興味のある方へ
舞台俳優とは?
舞台俳優とは、主に劇場のステージで、演劇やミュージカル作品に出演することを仕事としている人です。
劇団に所属して劇団員として作品に出演することもあれば、芸能事務所に所属してオファーを受けたり、オーディションを受けたりして舞台に立つ舞台俳優もいます。
「2.5次元舞台」といわれる、漫画やアニメを原作とした演劇やミュージカルの上演も増え、俳優に求められるスキルも多種多様になりました。
舞台演劇は、失敗してもやり直しができず、そのまま俳優の評価につながってしまう厳しい世界です。
しかし、舞台で観客からの喝采を浴びたときや、長い時間かけてひとつの作品を作り上げた達成感は、格別なものがあります。
舞台俳優と映像俳優の違いは?
舞台俳優と映像俳優は、演技をする先が違います。舞台俳優は「舞台」、映像俳優は「テレビや映画」で演技をするという点が大きな違いといえるでしょう。
そのため、演技の表現方法も違います。
舞台俳優は、後方席の観客にも伝わるように通る声と大きな動作での表現となりますが、カメラの前で同じ演技をすると大げさに見えてしまうかもしれません。
一方で、映像俳優が舞台でカメラの前と同じ演技をすると、声も動きも小さく見えてしまい、観客には何をしているのかよく伝わらないでしょう。
ただし、舞台俳優として活躍する人が映像作品に出演することも多いので、舞台俳優と映像俳優が明確に区別されることはあまり多くありません。
声優業界に興味のある方へ
舞台俳優の仕事内容
舞台俳優は「舞台で演技する」だけが仕事ではありません。仕事内容は、次のとおりです。
1つずつ解説します。
舞台の本番
舞台俳優にとって、一番重要な仕事は「舞台の本番」です。
観客はお金を払い、舞台俳優が演技する舞台を観たくて来ています。そのため、本番での観客の反応がそのまま評価につながることもあります。
たとえセリフがない場面でも、観客は自分を観ているかもしれないので、一瞬も気を抜けません。
舞台の稽古
最高の本番を迎えるためには、綿密な稽古が欠かせません。
基本的には、台本をもらってから読み合わせ、立ち稽古、リハーサルを経て本番です。
それ以外にも、役柄を理解するために時代背景の確認や方言の練習、発声練習をおこなないます。
また、演出家と演技プランを確認するなど、他の共演者やスタッフと協力してひとつの作品を完成させるための打ち合わせも必要です。
舞台のチケットの販売
劇場を借りて公演する際は、舞台俳優がチケットの販売もおこないます。
「チケットバック制」といって、自分のファンや友人などにチケットを販売し、売れたチケットの枚数により俳優の報酬が変動する制度を採用している劇団や劇場が多いです。
「チケットバック制」では、出演者はチケットを売れば売るほど収入になりますが、一方で売れなければ収入が少なくなります。
日本の大劇場では、海外に比べて音響や設備がよいため維持費が高く、興行が赤字だと劇団だけでなく、劇場も経営が成り立たなくなってしまうためだといわれています。
ただ、大きな劇団や、キャスティングされただけで観客が集まるような人気俳優は、チケットの販売は基本的におこないません。
舞台セットの制作
小規模な舞台の場合、舞台セットの制作に俳優も参加することがあります。
制作専門スタッフを置かずに、台本から舞台セット制作まですべて自分たちでおこなう劇団も少なくありません。
専門のスタッフがセットを制作する場合は、演出家や舞台監督と打ち合わせをしながら舞台の世界観を作っていきます。
舞台俳優になるには?
舞台俳優になるには、どうしたらよいのでしょう。
舞台俳優になる方法を、次の3つに分けて解説します。
おすすめは、専門学校で舞台俳優としての知識とスキルを身につけてから、オーディションを受けることです。順に解説します。
専門学校で知識とスキルを身につける
専門学校は、特に「俳優や声優になるため」の知識とスキルの習得が目的です。
いう間でもありませんが、オーディションは非常に狭き門になります。
収入が安定しやすい大きな劇団ほどオーディションの応募人数が多く、入団してからの稽古も厳しいです。そのため、専門学校で舞台俳優としての知識とスキルを身につけておくことは有利に働くでしょう。
東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校では、舞台俳優として活躍するための感情表現や身体表現、さらに自分を売り込むためのプレゼンテーションやセルフプロデュースも習得できます。
舞台経験を重点的に積んで舞台俳優を目指すなら「声優プロフェッショナル専攻」、歌やダンスを重点的に学んで声優アーティストを目指すなら「声優アーティスト専攻」がおすすめです。
「体験入学」では、校舎見学や業界説明、体験レッスンや個別相談会をおこなっています。
自宅にいながら興味がある分野の授業を体験できる「オンライン説明会」も開催しています。
オーディションを受ける
オーディションに合格すれば、いきなり大きな規模の興行に主要キャストとして出演できますが、天性の才能がある方でないと難しいでしょう。
芸能事務所に所属してオーディション情報を待つ方法もあります。しかし、芸能事務所に入ってもオーディションに受かるとは限りません。一般に比べ機会は増えますが、オーディションに受かる術を教えてくれることは稀なケースです。事前に演劇について学んでおくと有利でしょう。
大学で学ぶ
大学でも、演劇学科や舞台芸術学科で学ぶことで演劇の基礎を身につけることができます。
ただし大学は、一般教養や演劇全体の知識の習得を目的としていることが多く、卒業後は一般企業への就職も多いようです。
幅広い知識を身につけたいなら大学、舞台俳優としてのスキルを実践的に学ぶならば、実習が多い専門学校がおすすめです。
舞台俳優として売れるために必要なスキル
舞台俳優として生活していくには、一度の舞台に出演しただけ、劇団に入っただけでは難しいです。舞台俳優として、売れていかなければなりません。
舞台俳優として売れるためには何が必要でしょうか。主に次の5つです。
順に解説します。
演技力
舞台俳優にとって、何よりも大事なのが「演技力」です。
生の演技を観客に観ていただく舞台演劇は、細かい表情の変化やしぐさまで気を配って表現しなければなりません。
舞台俳優にとっては何日間も公演が続く場合でも、観客にとっては楽しみにしているたった1回の公演です。「失敗しても次がある」というわけにはいきません。
舞台俳優は、日頃から発声練習や表情作りの練習を怠らず、演技力を磨く必要があります。
表現力
舞台俳優は、演技力だけでなく「劇場全体に伝わる」表現力が必要です。
舞台は、映像作品のようなカメラの寄り(被写体をアップにする)はありません。そのため、セリフを話すだけではなく、体全体で感情や動きを表現しないと観客に伝わりません。
舞台演劇独特の表現力が必要なので、独学では習得が難しい点でもあります。
歌唱力
近年は、ミュージカルに加えて、2.5次元舞台のような高い歌唱力の必要な公演が本当に増えました。
歌唱力が必須とまではいえませんが、歌えない俳優では仕事の幅をかなり狭めてしまいます。
舞台俳優として歌うには歌がうまいだけでなく、登場人物の感情を表す表現力、劇場全体に届く声量も必要です。
コミュニケーション能力
共演者やスタッフ、それに作品とは直接関係のない演劇関係者と円滑なコミュニケーションが取れるのも、舞台俳優には大事な要素です。
舞台演劇は1人でできるものではなく、共演者との掛け合いや、演出家やスタッフとのイメージをすり合わせて、チームで作り上げるものです。
イメージのすり合わせができない共演者とは、一緒に仕事がしにくいと感じられてしまいます。また、チーム内でイメージの相違があるとよい舞台になりにくいでしょう。
また、キャスティング担当の人に「あの人にお願いしたい」と他の作品でも声をかけてもらうためにも、コミュニケーション能力は大切です。
発信力
近年、舞台俳優に必要になったスキルの一つが「発信力」です。
SNSでのフォロワーの多い舞台俳優は、主催者にはありがたい存在です。出演する舞台の情報を発信すれば、それだけである程度の集客が見込めます。
また、SNSを通じてファンを獲得するケースも多いです。ファンが獲得できれば、作品に関係なく観に来てくれることもあり、それがきっかけとなり作品の魅力も周知されます。
日頃からSNSで情報を発信し、ファンを増やせるようにしておきましょう。
舞台俳優に向いている人
舞台俳優は、売れていかないと職業として成り立ちません。
どのような人が舞台俳優に向いているといえるのでしょうか。特徴を3つ紹介します。
- 「必ず舞台俳優になる」という熱意がある人
- 協調性がある人
- 体力がある人
舞台俳優になるのも、そこから売れていくのも非常に厳しい世界です。どれだけ努力しても報われないこともありますし、ずっと安定した生活が保証されることもありません。
しかし、それでも「必ず舞台俳優になる」という熱意でコツコツ努力する人は、スキルも積み重なっていき、認められるチャンスが多くなります。
スタッフに認められ、いざ本番で日頃の努力が活かせる、度胸のある人は向いているでしょう。
加えて、協調性のある人や、毎日の稽古や公演にも耐えられる体力のある人は向いています。
舞台俳優の収入!給料・年収は?
舞台俳優の場合、劇団員でも事務所所属でも月給制であることは少なく、舞台に出演した数で報酬が決まります。
大きな舞台ならば、無名の俳優でも1ステージ5,000〜10,000円程度の収入となる場合もあります。しかし、小規模なイベントの場合は、1週間出演して10,000円以下ということもあるようです。
俳優個人の「知名度」や「集客力」が物をいう世界なので、有名な舞台俳優ともなれば1ステージ10万円以上ということもあります。
なお劇団四季では、以前は「月給制」とオーディション要項にありましたが、現在は給料についての明記はありません。
舞台俳優のやりがい
舞台俳優は、生の演技なので失敗すればそのまま観客に伝わってしまいますが、映像では味わえない、観客と一体となった劇場の空気を感じられるのがやりがいです。
素晴らしい公演を観ることができた観客の顔は、涙や笑顔で輝き、スタンディングオベーションで出演者を喝采してくれます。舞台俳優は、それを肌で感じることができるのです。
また、公演中の観客の反応から、役柄に対しての解釈をいろいろ変えながら試すことができるのも、舞台俳優の魅力のひとつでしょう。
有名な舞台俳優
テレビの映像でよく見かける俳優のなかにも、劇団出身だったり、現在も舞台で活躍していたりする方が多くいます。
その中でも、特に有名な舞台で活躍する俳優を4人紹介します。
ぜひ参考にしてください。
鹿賀丈史(かがたけし)
鹿賀丈史さんは、テレビ番組『料理の鉄人』の主宰役として有名ですが、劇団四季出身の舞台俳優でもあります。
「鹿賀丈史」という名前は芸名で、当時劇団の代表だった浅利慶太さんが名付け親です。
在団時は『ジーザス・クライスト・スーパースター』のジーザス役で注目されました。
退団後は、舞台『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャン役を1987年の日本初演から務め、1995年にロンドンで開催された「レ・ミゼラブル10周年記念コンサート」にも参加。
2005年度の菊田一夫演劇賞大賞を受賞しています。
市村正親(いちむらまさちか)
市村正親さんも、盟友である鹿賀丈史さんと同時期に劇団四季に所属していた舞台俳優で、劇団四季の看板俳優と言われました。代表作に『オペラ座の怪人』の怪人役があります。
この怪人役が評判になり、1989年にNHK『紅白歌合戦』に出演。曲はもちろん「オペラ座の怪人」を披露しました。
劇団四季時代は『CATS』『コーラスライン』など、激しいダンスシーンのある作品にも出演し、演技力の高さとともにダンス力も絶賛されています。
退団後は、1992年に『ミス・サイゴン』で菊田一夫演劇賞大賞を受賞、その後も数々の演劇賞を受賞し、2019年には旭日小綬章を受章しました。
松たか子
松たか子さんは、歌舞伎俳優である松本白鸚(9代目 松本幸四郎)さんの次女で、日本舞踊松本流の名手でもあります。
16歳のとき、歌舞伎『人情噺 文七元結(にんじょうばなし ぶんしちもっとい)』で初舞台を踏み、その後木村拓哉さん主演のテレビドラマ『ロングバケーション』や、『HERO』などでヒロインを務め話題になりました。
舞台では松本白鸚さん主演の『ラ・マンチャの男』に姉の松本紀保さんとともに出演。
他にも『ハムレット』『ミス・サイゴン』などで主要キャストを務め、読売演劇大賞や菊田一夫演劇賞など、演劇賞を数多く受賞しています。
高畑充希
高畑充希さんは、映画やドラマでも引っ張りだこの人気女優ですが、舞台では2007年から2012年の6年間『ピーターパン』で主演を務めたことでも有名です。
舞台『奇跡の人』では、主役のヘレン・ケラー役とアニー・サリヴァン役の両方で出演し、人気とともに演技力の高さを見せつけました。
2016年、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』のヒロインに選ばれ、ORICON STYLEが発表した『ブレイク女優ランキング』で1位に輝きました。
その後の舞台でも、2018年の『リトル・マーメイド』の主演アリエル役など数々の作品で主演を務め、2020年度の菊田一夫演劇賞を受賞しています。
舞台俳優になるために専門学校で学ぼう
「観る天国、やる地獄」と言う人がいるほど、舞台俳優は厳しい世界です。
それでも「将来は舞台俳優として活躍したい!」という熱意で努力を続けていける方ならば、きっとチャンスが巡ってくるでしょう。
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オーディション対策では、自己PRやステージの立ち方など、技術以外のメンタル面までサポートしてもらえるので安心です。
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オーディションで必要な音源をプロ仕様のスタジオで録音できるので、鍛えた歌唱力をしっかり発揮できます。
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