声優を目指す高校生から良く聞かれることがあります。それは「今のうちからやっておいた方がいいことはありますか?」ということです。そこで今回は声優を目指すキミのために、高校生の今からやっておけば必ずプラスになる練習方法をご紹介します。
記事の概要
声優業界に興味のある方へ
①腹式呼吸
発声において最も重要なことは「呼吸」です。素早く吸って、一定の量で息を吐き、可能な限り長く使う。これが理想的な呼吸法だといわれています。大きな声を出し、長いセリフを喋る、そのためには「腹式呼吸」をマスターしましょう。腹式呼吸を練習する上で重要なのは以下の3つのポイントです。
(1)空気は鼻から吸う
(2)背筋を伸ばす
(3)肩は動かさない
上手くできない場合は仰向けになりお腹(下腹部)に手を当てながらやってみましょう。息を吐くときにお腹がへこみ、吸うときに膨らめば成功です。
②アーティキュレーション
アーティキュレーションとはいわゆる滑舌や歯切れのことです。セリフを聞いている人にはっきりと伝えるためには必要不可欠な技術です。アーティキュレーションの上達には早口言葉を読み上げることが手っ取り早い方法です。練習する際は早く読むことよりも、母音を一語一語はっきりと発音することを意識しましょう。
(1)この竹垣に竹たてかけたのは、竹たてかけたかったから竹たてかけたのです。
(2)おあやや、母親におあやまりなさい。
(3)赤巻紙、青巻紙、黄巻紙、長巻紙。
声優業界に興味のある方へ
③鼻濁音
「が・ぎ・ぐ・げ・ご」などの濁音を普通に発声するのではなく、柔らかく滑らかな印象を与えるよう鼻腔内に響かせるように発声するのが鼻濁音です。いわゆる「鼻にかかった声」「鼻声」と呼ばれるものです。
簡単な練習法としては、「ん」の音をつけるというものがあります。鼻から息を吐くことを意識しながら「んー」とハミングするように音を伸ばします。その後「んーが」というようにが行の音をつけます。そして徐々に「ん」の音を短くしていき、鼻から息が抜けるよう意識しながら「ん」と「が行の音」を同時に発音します。
この練習を繰り返すときれいな鼻濁音が出るようになります。
④早口を治す
早口を治すのに一番大事なことは普段の喋り方から気をつけることです。日常的にしていることは癖になりやすく改善しにくいからです。普段の喋り方から早口にならないよう注意しましょう。
⑤肺活量を鍛える
声優としてセリフを喋る場合、とてつもなく長いセリフを息継ぎなしで喋らなければならない場合もあります。そのためにも肺活量が少ない人は今のうちにしっかりと鍛えておく必要があります。では簡単な肺活量の鍛え方をご紹介します。
(1)足踏みをする
(2)足踏みしながら息をたくさん吸い込む(以下足踏みをしながら)
(3)限界まで吸い込んだらそのまま5~10秒維持する
(4)10秒かけて肺の中が空になるようゆっくりと息を吐き出す
これを1日最低10回繰り返せば肺活量を鍛えることができます。
⑥本をたくさん読む
なぜ声優になるのに本を読むことが必要なのでしょうか?それは声優に必要な想像力や読解力を鍛えるためです。声優の仕事には台本があり、その流れに沿って演技をすることになります。その際台本に書かれていることの流れを読む力、つまり読解力がないと話の内容を深く理解し、感じ取ることができません。そうなると演技の質に影響が出てしまい、簡単に言うと演技が浅いものになってしまいます。演技を深く、質を上げるためにも、たくさん本を読んで想像力や読解力を鍛えておきましょう。また、本をたくさん読むことで多くの漢字を読めるようになるので、台本を読む際に漢字で困るということもなくなります。夢のためであれば国語の授業も楽しく受けれますよね。
⑦ 表情筋を鍛える
発声や発音は口の動きだけでなく、顔全体の使い方によって変わってきます。顔の表情筋が硬い人は表現の幅が少なく、演技もワンパターンになりがちです。逆に顔の表情筋が柔らかい人は、表現の幅も広がり、多彩な演技をすることができます。それでは簡単にできる表情筋のトレーニングをご紹介します。前から顔を紐で引っ張られているように口をつきだし、目や口を顔の中心に集めます。すっぱいものを食べた時のような顔ですね。その顔を10秒間続け、10秒後に思い切り顔の力を抜きましょう。すると顔全体が熱くなったような気がしませんか?これを5回程繰り返します。こうすることで普段あまり使うことのない顔の表情筋を鍛えることができます。
⑧舌根トレーニング
発声を行なう上で、舌が持つ役割は非常に大きいものがあります。舌の位置や形によって発音の内容は大きく変わりますし、発声時に舌に余計な力が入っていると、あごに力みが伝わり喉を閉めてしまいます。その逆で、舌を柔らかく使えるようになると、発声もしやすくなり、表現力を高めることができます。舌を柔らかくするトレーニングは、「舌を歯のまわりでぐるぐる動かすこと」です。
(1)前歯と唇の隙間の歯茎に舌の先を入れる
(2)歯茎のラインをなぞるように左回りでゆっくり舌を動かす
(3)5回転ほどしたら右回りに舌を動かす
これを3分ほど繰り返しましょう。おそらく舌の根っこあたりが疲れたような感覚になるはずです。そうなれば成功です。
舌も筋肉で動かしているので、トレーニングを続ければ柔らかな下の動きをマスターすることができます。
⑨喉のケアを徹底する
発声の土台となる喉のケアは重要です。風邪を引かないようにする、喉に良くない食べ物は控えるなど、常日頃から喉のケアを心掛けましょう。喉のケアについては、これで喉のケアはバッチリ!プロが実践している喉のケア方法完全版に詳しく書いていますので参考にしてみてください。
いかがでしたか?今回ご紹介した8つの練習方法はどれも基本的な内容ですが、これをきっちりやるのとやらないのでは大きな違いがあります。継続は力なりという言葉があるように続けることが重要です。さあ今からでも早くはありません。夢に向かってスキルアップしていきましょう!!
⑩自己プロデュース力を磨く
「声優」という仕事は、オーディションに参加して選ばれなければなりません。ライバルと差をつける上で重要になるのが「自己プロデュース力」です。自己プロデュース力とは、自分だけの強みやオリジナリティを、いつでもどこでも最大限に発揮できるようにしておく力です。
この業界は狭き門で、常にライバルがいます。だからこそ、客観的に自分を見つめて、自分の個性や得意を追求することが大切です。そこで、おすすめしたいのが自分と向き合うこと。
例えば、自分の声の特徴はどういったところにあるのか、また自分に向いているのはどういったお芝居やキャラクターなのかをとことん考えましょう。声やお芝居・キャラクターだけでなく、歌やダンス、語学力など、自分のオリジナリティを突き詰めるのも、自己プロデュース力を強化することにつながります。地方出身の方は方言もオリジナリティのひとつですが、声優になるためには標準語の習得は必須になります。標準語のアクセントを聞くなどして、マスターしておきましょう。
また、アニメ鑑賞だけでなく、読書や実写の映画鑑賞やドラマ鑑賞、演劇鑑賞や、人間観察をするなど「社会を知る」「人間を知る」ことがとても大切です。