「ラノベは、どうやって書けばいいの?」
ラノベには書き方のルールがあるので、まずは基礎文法や構成などの基本から学ぶことが重要です。そして、基本に沿って書くとラノベが完成します。
この記事では、すぐにマネできるラノベの書き方やプロットのルールを紹介します。さらに、商業作家になるために重要なポイントも解説しています。
初心者のラノベ作家でも書き方を上達させるコツがわかるので、ぜひ参考にしてください。
記事の概要
声優・アニメ・eスポーツ業界に興味のある方へ
ラノベの書き方の基礎文法11選
ラノベの書き方には、以下11つの基礎文法があります。
- 段落は一字下げてから始める
- 文末に句点をつける
- 意味の切れ目に読点をつける
- セリフは「」で囲う
- カギ括弧(「」)の中は二重括弧(『』)を使う
- 会話文は句点で終わらせない
- 感嘆符(!)や疑問符(?)の後に空白を入れる
- 「……」と「――」は2つ続ける
- 顔文字を使わない
- 数字は「漢数字」で書く
- あえて一人称視点で書く
順番にみていきましょう。
段落は一字下げてから始める
段落は話の始まりを意味するので、一字下げてから書きましょう。ただし、会話文(カギ括弧「」)で始まる場合は、一字下げる必要はありません。
【例】
これは、とある少年の物語です。
「冒険のはじまりだ!」
文末に句点をつける
句点とは(。)のことです。文章を区切るために、一文を書き終えた後に句点をつけます。
【例】
新しい武器を手に入れました。
意味の切れ目に読点をつける
読点とは(、)のことです。文章の意味が分かれる場所や、音読する時に息継ぎする部分に読点をつけましょう。
【例】
少年は、伝説の魔法を覚えました。
セリフは「」で囲う
キャラクターのセリフや会話文は、カギ括弧(「」)で囲うルールです。カギ括弧を使うことで、文章と登場人物の言葉にメリハリがつけられます。
【例】
「魔王を倒さないといけない」
カギ括弧(「」)の中は二重括弧(『』)を使う
カギ括弧(「」)の中に、カギ括弧は使えません。キャラクターのセリフを会話文の中に入れる場合は、二重括弧(『』)を利用しましょう。
【例】
「師匠は『甘えるな!』といつも言っていた」
会話文は句点で終わらせない
カギ括弧(「」)の中の文章に、句点(。)はつけません。(。)の代わりに、「~?」や「~!」で、会話文を終わらせることはあります。
【例】
「どんな修行をすればいいの?」「やったぜ!」
感嘆符(!)や疑問符(?)の後に空白を入れる
ラノベは感嘆符付(!)や疑問符(?)の後に、全角の空白を1つ入れます。ただし、カギ括弧(「」)の中の文章の後に空白は必要ありません。
【例】
次の瞬間! (空白を1つ入れる)
敵を本当に倒したのか? (空白を1つ入れる)
三点リーダー(…)とダッシュ(ー)は2つ続ける
三点リーダー(…)とダッシュ(ー)は、(……)や(ーー)のように2つ続けて使いましょう。ちなみに、2つ以上使う場合は「4、6、8」と2の倍数ずつ使用します。
【例】
その村人は、盗賊に抵抗できなかった……。
その日から冒険がはじまった――。
顔文字を使わない
ラノベの文章に顔文字は使えません。感情の機微は、文章やセリフで表現しましょう。比喩表現を使うと感情を表現しやすくなります。
【例】
まるでナイフで胸を刺されたような悲しみが姫を襲った。
数字は「漢数字」で書く
ラノベの数字は、原則として漢数字を用います。(一、二、など)二桁の数字はアラビア数字で「10秒」と表示できます。
ただし、三桁以上の数字は横並びにできません。その場合は「千」や「万」などの単位を使いましょう。
【例】
三日間の修行をする。
13人以上の敵がいる。
あえて一人称視点で書く
ラノベや小説は、あえて一人称視点で書くことで臨場感が生まれます。とくに、心理描写を描きたいときは一人称視点がおすすめです。
小説の世界を俯瞰できる三人称視点で描くばかりではなく、一人称視点で描くと登場人物の気持ちが分かりやすい文章が書けます。
【例】
三人称視点:少年は幻想的な異世界に転生してしまった。
一人称視点:僕は幻想的な異世界に転生してしまった!
初心者のラノベ作家が陥りがちなミス
初心者のラノベ作家が陥りがちなミスは、以下の3つです。
- 主語があいまいになる
- 修飾語を使い過ぎる
- 「て・に・を・は」を間違える
それぞれ詳しく解説していきます。
主語があいまいになる
読みやすい文章は主語が明確です。反対に、主語があいまいな文章は、読みづらい印象を与えてしまいます。
そもそも、日本語は主語がなくても意味を理解できる言語です。とくに、会話においては主語を省略することが増えます。
しかし、文章の主語をあいまいにすると、会話に比べて意味が伝わりにくくなります。
そのため、文章は主語を明確にして、読者にストレスを与えない工夫が必要です。
とはいえ、同じ主語が連続すると読みにくい文章になります。ラノベの文章を書く時は、主語をたまに省略して、くどい印象を与えない伝え方が重要です。
【例】
少年は、砂漠にたどり着いた。砂漠で、(「少年は」を省略)野宿をすることにした。
修飾語を使い過ぎる
文章は修飾語が多くなると、理解しにくくなります。なぜなら、修飾語は他の文章を説明す
ることで、1文の意味が複雑になるからです。
そのため、修飾語を使う場合は、説明する単語の直前に置くことを意識しましょう。「とても」を例に説明します。
【例】
とても彼女は美しい
彼女はとても美しい
「とても」は、美しいを修飾するので、「美しい」の直前におきます。
「て・に・を・は」を間違える
「て・に・を・は」とは、言葉と言葉を繋げる助詞です。助詞は1文字違うだけでも、文章のニュアンスを変えてしまいます。
とくに、ラノベは人物の関係性や心理描写など、細かな違いを表現する場面が多いです。読者が誤解する表現を避けるために、助詞の正しい使い方を覚えておかなければなりません。
【例】
✖魔王に倒した
〇魔王を倒した
「て・に・を・は」の間違いを防止するためには、音読するとミスに気づきやすいです。
他には、ラノベのプロや編集者からの添削を受けると、書き方の見直しに繋がるでしょう。
自分で読み返しても気づかないミスは、第三者からの意見を参考に修正することが大切です。
ちなみに「て・に・を・は」は、助詞全般(か、と、の、や、等)も指しています。初心者のラノベ作家は、他の助詞も同様に間違えやすいので注意が必要です。
ラノベの基本構成の作り方
ラノベの基本構成は、以下3つの作り方があります。
- 起承転結
- 序破急
- 三幕構成
それぞれ順番にみていきましょう。
起承転結
起承転結は、以下の意味に分かれます。
- 起=物語の始まり。読み手に知ってほしい情報や物語の背景を伝える。
- 承=「起」で伝えた情報を元に、物語が進行する。
- 転=「承」から続いた物語の転換部分。状況が変わる出来事が起こる。
- 結=「転」で変わった状況が終わる。そして物語が結末を迎える。
起承転結は、学校の作文と同じ書き方です。それぞれの割合は「起:10% 承:40% 転:40% 結:10%」がベストと言われています。
なぜなら、物語は始まりが長いと読みたくなくなり、反対に終わりが長いと読み終わった後に悪い印象を残す可能性が高いからです。
そのため、ラノベは「承」と「転」の部分を長くして、物語を展開させるとよいでしょう。
ちなみに、物語は「結」から考えると他の部分が作りやすくなります。ラノベを作る時は、「結」「起」「承」「転」の順番で構成を作りましょう。
序破急
序破急は、それぞれ以下の意味を持ちます。
- 序=物語の始まり。登場人物・時代背景・状況説明、インパクトのある事件や出来事が起きる。
- 破=物語の展開と転換する部分。ストーリーの進行の後に、挫折や葛藤などの出来事が起きる。
- 急=物語の結末。失敗やトラブルが終わり、ストーリーの幕が閉じる。
序破急の割合は「序:10%、破:80%、急:10%」とされています。
ラノベの序破急は、起承転結を3つに分けたものと考えましょう。起=序、承転=破、結=急になります。
序破急は起承転結と違い、スピード感あふれる表現が特徴です。たとえば、漫画やCMなどに用いられることが多く、疾走感あふれる物語に適しています。
作り方は起承転結と同様に、結論から作ることが重要です。「急」「序」「破」の順番で作ると、物語を作りやすくなるでしょう。
三幕構成
三幕構成は3つではなく、以下の4つに分かれます。
- 第一幕:物語の始まり。登場人物・舞台背景を説明し、伏線などを仕掛けながら第二幕に繋がる事件や出来事が起きる。
- 第二幕(前半):主人公が問題に対して受け身の立場になる。挫折や逃避などを経験してピンチに陥る。
- 第二幕(後半):助っ人や新たな力を得ることにより、ピンチを打破する行動に出る。結末に繋がるように、急展開で物語が進行する。
- 第三幕:主人公が最大の問題を解決し、結末を迎える。伏線の回収や作品のメッセージ性などを残して終了。
三幕構成の割合は、「一幕:25%、二幕:50%、三幕:25%」になります。
もともと、三幕構成は映画の脚本の書き方です。この構成は長編の物語に向いているので、ラノベにも応用できます。
とくに、第二幕はピンチやチャンスが繰り返されるため、読者を飽きさせない展開で物語を進められます。
三幕構成で物語を作るときは、「三幕構成」「一幕構成」「二幕構成」の順番で構成を作りましょう。
ラノベのプロットの書き方のルール
ラノベのプロットは、以下2つの書き方のルールがあります。
- プロットの大枠の作り方
- プロットのシーンごとの作り方
それぞれ詳しく解説していきます。
プロットの大枠の作り方
プロットとは、物語の設計図です。まずは物語の設定やキャラクターが、どんな結末になるのかだけを明確にします。
例として『桃太郎』でプロットの大枠を作ると、以下のようになります。
鬼を退治して豊かに暮らした
上記のような、シンプルなプロットでよいです。1と2の間に仲間を集める様子や鬼退治のシーンを加えれば、桃太郎のストーリーが作りやすくなります。
次に、キャラクターや舞台を詳しく設定していきましょう。
- キャラクター設定(桃太郎、おじいさん、おばあさん、鬼、仲間たち)
- 舞台設定(昔の日本、山、川、鬼ヶ島)
そしてプロットから想像を膨らませて、シーンを追加していきます。
プロットのシーンごとの作り方
大枠が決まった後にシーンを追加すると、以下のようになります。
おじいさんは山に芝刈り、おばあさんは川で洗濯
おばあさん、川で流れてくる桃を見つける
桃を割ると桃太郎が生まれる
成長した桃太郎は鬼退治に行く
途中で、サル・キジ・イヌを仲間にする
鬼を退治して豊かに暮らした
プロットのシーンごとの作り方は、シーンとシーンの間に物語を追加しましょう。
細かい描写が増えると、さらに物語に厚みが増しておもしろくなります。なにより、物語の内容は作者の個性が出ることでオリジナリティが生まれます。
物語は構成から作成して、シーンを追加していくルールはラノベでも変わりません。
大まかなプロットから逆算してシーンを作ることで、物語を展開させやすくなります。
ラノベの書き方の上達に必要な3つのポイント
ラノベの書き方の上達には、以下3つのポイントが必要です。
- 世界観・設定
- キャラクター
- ストーリー
順番にみていきましょう。
世界観・設定
世界観は「読者が入りたくなる空間」を意識して作成します。
たとえば、異世界や過去にタイムスリップした世界などがおすすめです。現実にはありえない世界観や設定でも、読者の妄想をかき立てる状況になります。
ただし、物語の世界には非現実なりのリアリティも必要です。世界観や設定は、物語と整合性を持って初めて魅力的に感じてもらえます。
キャラクター
キャラクターは「読者の共感」が重要です。
物語に没入してもらうためには、主人公やキャラクターたちに自己投影できるかどうかで決まります。
たとえば、失敗ばかりの主人公が成長する姿や、挫折や困難を乗り越える様子などがキャラクターの人間味を作ります。
もちろん、キャラクターは見た目や設定なども重要です。しかし、それ以上に共感できる内面が読者を惹きつけます。
ストーリー
ストーリーの魅力は「結末までにワクワクできる過程」です。
たとえば、主人公の精神的な成長や、敵キャラとのライバル関係、肉親との別れなど、物語には終わりを迎えるまでにドラマがあります。
物語の伏線を回収しながら、結末に至るまでの過程を描きます。読者は心が動かされる展開が多いほど、ストーリーに入り込めるのです。
中でも、ラノベはギャグが人気です。ギャクはストーリーをおもしろくできる要素なので、人気のラノベにはギャクを盛り込むことを意識しましょう。普段の生活の中で、自分が笑ったギャグが「なぜ、おもしろいと思ったのか」を分析する癖をつけると、ギャグのセンスを磨けます。
売れるラノベのポイント
売れるラノベのポイントは、想定読者を「サブカル好きな10代~20代」とすることです。
たとえば、『ソードアート・オンライン』や『転生したらスライムだった件』など、ゲームの世界観で主人公になれる物語が人気です。
どちらも普段は平凡な主人公が、別世界で活躍する姿を描いています。
作中にはサブカル好きに共感されるポイントが多く、ゲームやマンガなどのキャラクターに感情移入しやすく設計されています。
キャラクターに感情移入しやすい10代~20代の読者は、ラノベを購入してもらいやすいターゲットとされています。
売れるラノベを作るには、いかに若年層の読者に楽しんでもらえるかが重要になります。
ラノベ作家として活動するためには?
ラノベ作家として活動するために、以下の3つが必要です。
- 短文でもいいので毎日文章を書き続ける
- 短編小説を完成させることに慣れる
- 賞に応募する
それぞれ順番にみていきましょう。
短文でもいいので毎日文章を書き続ける
まずは文章を書く習慣をつけることが大切です。一日一文でもいいので、書く習慣をつけるところから始めましょう。
とくに初心者のうちは文章を書かずに、SNSやマンガなどに時間を消費してしまう人が多いです。
ラノベ作家として活動するためには、書く習慣が必要不可欠です。どうしてもSNSを見てしまう人は、InstagramやTwitterなどで書く量を増やすことをおすすめします。
短編小説を完成させることに慣れる
短文に慣れてきたら、次は短編小説を書き始めるとよいです。
ラノベは完成させて初めて経験値が手に入るので、ラノベ短編の2~4万字を目安に作ってみましょう。毎日1,000文字~1,500文字の執筆を継続すれば、1か月に1本の作品ができます。
途中で終わらせてしまうと、作家としての経験値が手に入りません。作品を完成させることを継続できれば、長編のラノベにも挑戦しやすくなるでしょう。
賞に応募する
ラノベの創作に慣れてきた後は、いよいよ賞に応募する段階です。
多くの出版社が指定する文字数は、10万字前後が基準になります。ラノベを書き慣れた人にとっては、文字数は問題にならないでしょう。
仮に応募した作品が大賞を受賞した場合は、100万円~300万円の報酬がもらえます。さらに、作家としてのデビューも叶えられる可能性が高いです。
ラノベの書き方は専門学校でプロから教わろう
ラノベの書き方は、文法などの基礎から始めましょう。文章は書けば書くほど上達するので、まずは書く量を増やすことが重要です。次第に作品を完成させることにも慣れるでしょう。
しかし、ラノベ作家としてデビューするためには、ラノベのプロたちから評価されなくてはなりません。
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プロが納得する作品を作るためには、業界のプロからアドバイスをもらえる環境でラノベを書くことが重要です。商業作家としてデビューしたい人は、ぜひご入学を検討してみてください。
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