キャラクターの躍動感のある動きで楽しませてくれるゲームや映画はたくさんありますが、まるで生きているかのような躍動感のある映像の裏側には、モーションデザイナーの活躍があります。
この記事では、モーションデザイナーという仕事に興味を持つ方に向けて、必要なスキルや向いている人の特徴、モーションデザイナーになるにはどうしたらいいのかを詳しく説明します。
興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
記事の概要
アニメ業界に興味のある方へ
モーションデザイナーとは?
モーションデザイナーとは、ゲームやCG作品のキャラクターに動きをつけて、キャラクターの気持ちや魅力を表現する仕事です。
キャラクターの動きの仕上がり次第で作品の評価も大きく変わります。実写のようなスムーズな動きを忠実に再現することで、作品に自然な世界観を表現できるでしょう。また動きによって、戦闘シーンの臨場感や声にならない気持ちを演出することもできます。
キャラクターの動きは、プログラミングで構築されるものなので、モーションデザイナーの仕事は単独ではなく、プログラマーや制作スタッフとの共同作業が多くなります。
モーションデザイナーの仕事内容
モーションデザイナーの具体的な仕事内容は、下記の3つです。
- リギングの制作
- アニメーションの制作
- キャラクターの実装
1つずつ詳しく解説します。
リギングの制作
「リギング」とは、キャラクターや動物の物体をスムーズに動かす仕組みを作る作業です。たとえば人間らしい動きをさせるためには、骨や関節(ジョイント)を設定します。
最初の段階で、リギングという骨組みを正しく作成することで、キャラクターが思い通りに動かせるようになり、クオリティの高いアニメーションを作る下準備ができます。
アニメーションの制作
リギングという工程が終わったら、アニメーションの作成に入ります。
キャラクター1人1人の性格や感情に合った動きを作っていくことで、キャラクターに命を吹き込む作業です。
キャラクターの骨格に合わせた自然な動きにすることで、見ている人は違和感なく物語やゲームの世界を楽しめます。
キャラクターの実装
アニメーションでスムーズな動きが制作できたら、キャラクターの実装をします。ゲームの場合、キャラクターのデータをゲームシステムに組み込むのです。スキルのいる作業なので、1人ではなくCGデザイナーやプログラマーたちと一緒に仕事を進めていくことになります。
キャラクターを実装する際に、不自然な動きがないかチェックしたり、キャラクターの個性に合わせた動きやポージングを細かく設定したりします。
アニメ業界に興味のある方へ
モーションデザイナーになるには?
モーションデザイナーになるには、大きく分けて3つの進路があります。
- 専門学校で知識とスキルを身につける
- 映像制作会社やゲーム制作会社へ就職する
- 大学で学ぶ
将来の進路を選ぶ参考になるよう、1つずつ解説していきます。
専門学校で知識とスキルを身につける
専門学校で自分自身の知識とスキルを高めるのが、活躍できるモーションデザイナーになる近道です。
モーションデザイナーになるための必須資格はありません。しかし3ds Max、MotionBuilde、Maya、SoftImageなどの3Dデザインソフトを使うスキルは必要です。制作ソフトが扱えると、会社に入ったとき即戦力として活躍できます。
さらにアニメーションを作ったときに不自然に見せないため、人体構造や動きに関する知識も必要です。専門学校であれば、最先端技術や設備を使う実践的な授業が多く、即戦力になれるスキルを身につけることができます。
東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校「ライブ動画配信&映像クリエーター専攻」では、動画の基礎知識から専門知識までを幅広く学べます。
有名企業との繋がりも強いので、在学中から実際の現場での経験を積みやすいです。
大学で学ぶ
大学でもモーションデザイナーになるためのスキルを身につけることが可能です。
しかし大学は進級するための一般教養やほかの学科と共通の選択科目なども取得する必要があるため、専門学校と比べると座学が中心で実習が少ない傾向があります。
映像業界以外への就職も考えている場合は、幅広い知識を学べる大学がおすすめですが、モーションデザイナーに必要なスキルや知識を実践的に身につけたいなら、実習が多い専門学校の方が良いでしょう。
映像制作会社やゲーム制作会社へ就職する
狭き門ですが、独学で勉強しながら映像制作会社やゲーム制作会社へ就職する道もあります。
憧れの職業に早くつけるのはメリットですが、すぐにやりたい仕事を任せてもらうことは難しいでしょう。下積み期間が長くなり、専門学校卒や大学卒に比べると給与面でも差がついてしまう恐れがあります。
モーションデザイナーに独学でなるのは厳しい?
ゲームやアニメーションが好きな人の中には、独学でモーションデザイナーを目指そうと思う方もいるかもしれません。独学でも無理ではないものの、3Dデザインソフトの操作スキルの取得は難易度が高いです。
クオリティの高い仕事を目指せば目指すほど、勉強する内容の難易度は上がります。
思っていることを形にするスキルが必要になるので、独学で勉強するのであれば相当な努力と覚悟が必要です。すぐに疑問点を解消してくれるプロから指導を受けた方がスキルの習得は早くなります。
モーションデザイナーに必要なスキル
モーションデザイナーに必要なスキルは、主に以下の4つです。
- デザインソフトの操作スキル
- 想像力
- 造形力
- コミュニケーション能力
もともとの資質はもちろん、すぐに身につかないものもありますが、地道に習得していきましょう。
デザインソフトの操作スキル
3ds Max、MotionBuilde、Maya、SoftImageなど3Dのデザインソフトは、使えた方が仕事の幅が広がります。
- 奥行きのある立体的な世界観の演出
- 複雑なアニメーションを作成、編集、再生
- よりリアルなエフェクトを作成
モーションデザイナーに必要なこれらの生産性が、3Dのデザインソフトで飛躍的にアップします。実際にモーションデザイナーとして働き始めた場合、デザインソフトを使いこなせるスキルは必要です。
想像力
想像力も大切なスキルの1つです。
モーションデザイナーは「このキャラクターは怒ったらどんな振る舞いをするだろう」「この人は悲しいときにはこんな行動をするはず」「キャラクターを魅力的に見せるポージング」など、想像を形にする仕事です。
想像力が豊かであることは、キャラクターを魅力的に動かすことに繋がります。
造形力
モーションデザイナーは、骨の構造や筋肉の動きなど人体や動物の造形に関する知識が重要です。
知識がないと、キャラクターの動きが不自然になってしまう恐れがあります。造形力があれば、美しいポーズや自然な動きをキャラクターで表現しやすくなるでしょう。
コミュニケーション能力
ゲームやアニメ、CG作品などは、監督やプログラマーなど、たくさんの人の関わりがあって1つの作品となります。たくさんの人が関わる作品だからこそ、モーションデザイナーにはコミュニケーション能力が大切です。
コミュニケーション能力がないと、仕事に対して疑問や質問があったときにも確認がとれず、ミスに繋がりやすくなります。
「こういう世界観を演出したかったのにうまく伝わらない」「改善してほしいけど、言い出しにくい」など、コミュニケーションが取れないことで現場の雰囲気が悪くなり、結果的にいい作品が作れなくなります。
一方、コミュニケーション能力が高い人がチームに1人いると「思っていることが伝わりやすい」「失敗してもチームの士気が下がらない」など、いい結果につながります。お互いに譲れないものがある中で、素晴らしい作品を作り上げるためには、高いコミュニケーション能力が求められます。
モーションデザイナーに必要な資格は?
モーションデザイナーになるための必須資格はありません。しかし以下の資格を取得しておくと就活に有利になりやすいでしょう。
- CGクリエイター検定
- Illustrator®クリエイター能力認定試験
- Photoshop®クリエイター能力試験
- 色彩検定
CGクリエイター検定
CGクリエイター検定は、CG映像制作の流れなど2次元・3次元CGの映像制作に関する知識を測定する検定です。
難易度は、ベーシックとエキスパートに分かれます。試験の概要は以下の通りです。
CGクリエイター検定の概要 | ||
---|---|---|
ベーシック | エキスパート | |
受験資格 | 誰でも受験可能 | |
形式 | マークシート | |
問題数 | 10問 | |
合格基準点 | 70点(100点満点)※難易度により変動あり | |
料金(税込) | 5,600円 | 6,700円 |
試験時間 | 60分 | 80分 |
出題範囲例 |
|
|
llustrator®クリエイター能力認定試験
Illustrator®クリエイター能力認定試験は、ドキュメントデザインに関する基本的な知識と、Adobe Illustrator®を使用するスキルがどれくらいあるのか測定する検定です。
スタンダードとエキスパートの2種類があり、自身のレベルに応じた試験を受験できます。
スタンダードもエキスパートも第1部(知識、実技問題)と第2部(実践問題)に分かれており、第2部ではAdobe Illustrator®を使って、作業指示書にあったコンテンツの制作が求められます。
試験の概要は下記の通りです。
Illustrator®クリエイター能力認定試験の概要 | ||
---|---|---|
スタンダード | エキスパート | |
料金 | 7,600円 | 8,600円 |
試験時間 | 1部(実技):40分
2部(実践):90分 |
1部(知識・実技):50分
2部(実践):90分 |
合格基準 | 実技:65%以上
実践:70%以上 |
知識・実技:65%以上
実践:70%以上 |
出題範囲例 | <1部>
・Adobe Illustrator®の操作、DPTファイル、Webデザインパーツの作成(テーマ別大問7~9問) <2部> ・作品制作(1テーマ) |
<1部>
・Adobe Illustrator®、DTP、Webデザインに関する知識(テーマ別大問4~6門) ・Adobe Illustrator®の操作によるDTPファイル、Webデザインパーツの作成(テーマ別大問4~6門) <2部> ・作品制作(1テーマ) |
Photoshop®クリエイター能力試験
Photoshop®クリエイター能力試験は、Photoshop®を使ったグラフィックコンテンツの制作能力を測定する検定です。
こちらもスタンダードとエキスパートの2種類があり、自身のレベルに応じた難易度で受験可能です。
Illustrator®クリエイター能力認定試験と同じく、第1部(実技)と第2部(実践)に分かれており、実践編ではPhotoshop®を使って、指示通りに編集を行い、作品を提出します。
試験の概要は、以下の表を参考にしてください。
Photoshop®クリエイター能力認定試験の概要 | ||
---|---|---|
スタンダード | エキスパート | |
受験資格 | 誰でも受験可能 | |
料金 | 7,600円 | 8,600円 |
試験時間 | 1部(実技):40分
2部(実践):90分 |
1部(知識・実技):50分
2部(実践):90分 |
合格基準 | 実技:65%以上
実践:70%以上 |
知識・実技:65%以上
実践:70%以上 |
出題範囲例 | <1部>
・Adobe Photoshop®の基本操作による画像の作成 <2部> ・Adobe Photoshop®を使った作品制作(1テーマ) |
<1部>
・Adobe Photoshop®および画像処理に関する知識 ・Adobe Photoshop®の操作による画像の作成 <2部> ・Adobe Photoshop®を使った作品制作(1テーマ) |
色彩検定
色彩検定は、色の種類や調和・配色など色に関する知識や技能を問う検定です。文部科学省による公的資格で、3級・2級・1級・UC級(ユニバーサルデザイン級)に分かれています。
初めて色について学ぶ3級や、実際のデザインに応用できるプロ向けの2級など、自分のスキルや目的に合わせた資格を受検しましょう。
色彩検定の概要 | ||||
---|---|---|---|---|
3級 | 2級 | 1級 | UC級 | |
受験資格 | 誰でも受験可能 | |||
実施時期 | 夏期(6月)
冬期(11月) |
夏期(6月)
冬期(11月) |
冬期のみ(11月、12月) | 夏期(6月)
冬期(11月) |
形式 | マークシート | マークシート+一部記述 | 1次:マークシート
2次:記述(一部実技) |
マークシート+一部記述 |
料金(税込) | 7,000円 | 10,000円 | 15,000円※1次免除者も同じ | 6,000円 |
試験時間 | 60分 | 70分 | 1次:80分
2次:90分 |
60分 |
モーションデザイナーに向いている人
モーションデザイナーに向いている人は、次のような人です。
- ゲームや映像作品が好きな人
- 観察力がある人
- チームでモノを作るのが好きな人
ゲームや映像作品が好きな人は、「より良い作品を作ろう」「こういう動きを作りたい」という熱量も高く、夢中になって作業がしやすいです。
また観察力がある人は、「こういう人はこんなときにどう動く」「ここの関節の動きが不自然」など、仕事に必要な気付きが得られます。
上でもお伝えした通り、映像作品やゲームアプリは1人では作れません。そのため、他人と1つのチームになって作品を作るのが好きな人も、モーションデザイナーに向いている人だと言えます。
モーションデザイナーの求人・就職先は?
モーションデザイナーの求人・就職先には、下記のような会社があります
- 映像制作会社
- ゲーム制作会社
- アプリ開発会社
- アニメ制作会社
- 映画制作会社
映像制作会社やゲーム制作会社がほとんどですが、キャラクターの決めポーズや髪の揺れを表現するためにアプリ開発会社でも求人を出している場合があります。
一言で「モーションデザイナー」と言っても、幅広いコンテンツ制作に関わっているのです。
モーションデザイナーの収入!給料・年収は?
求人サイトの求人ボックスでは、モーションデザイナーの平均年収は正社員で約473万円と公開されています。(2022年6月時点)ボリュームが一番多いのは475〜529万円のゾーンで、平均月給は約39万円です。
日本の正社員の平均年収433万円と比べると、十分に高い傾向にあるでしょう。自分が携わったアプリやゲームがヒットした場合、もっと高い年収も期待できます。
モーションデザイナーのやりがい
モーションデザイナーは、キャラクターや作品の完成度を左右する重要な仕事なので、ゲームやアニメ好きには大変やりがいのある仕事でしょう。
仕事にやりがいを感じるときは人それぞれですが、多くの人がやっていて「よかった」と感じる瞬間を紹介します。
- 満足できる動きを作れたとき
- ゲームや映画など全体が完成したとき
- 自分たちの作品が評価されたとき
モーションデザイナーの将来性は?
インターネットで「モーションデザイナーは将来なくなる仕事」「モーションデザイナーの需要がない」などの話を見て、不安に感じている人もいるかもしれません。
しかし、モーションデザイナーは映画やアニメなどの映像業界だけではなく、ゲームアプリにも必要な仕事です。モーションデザイナーが必要な迫力のある映像を使ったゲームアプリも増えてきているので、需要は今後も増えると予想できます。
モーションデザイナーの仕事は専門性の高い仕事です。しっかりとしたスキルを身につけていれば不安に思うことはないでしょう。
モーションデザイナーになるために専門学校で学ぼう
モーションデザイナーは必須資格がない仕事ですが、求められるスキルは多いため、現場で活躍するためには専門学校で学ぶことをおすすめします。
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