声優の仕事には外国の映画、いわゆる外画の吹き替えがあります。
声優というとアニメのアフレコを思い浮かべる方が多いですが、外画の吹き替えも声優の仕事のひとつです。
映像に声をあてるという点ではアニメのアフレコと変わりません。
ただ、外画の場合は人間の演技の吹き替えなので、演技面などいくつか注意しなければならない点があります。
そこで今回は外画吹き替えの特徴と注意すべきことをご紹介します。
記事の概要
声優業界に興味のある方へ
外画吹き替えの仕事の流れ
アニメはオーディションで配役が決まりますが、外画吹き替えの場合、基本オーディションはありません。
配役が決まったら次は収録ですが、アニメのアフレコと同じように音響監督のもと、テスト、本番と進んでいきます。流れはこのようになります。
台本と映像資料の配布
吹き替えは映画やドラマなどすでに完成しているものに声を当てます。
そのため、アニメのアフレコとは違い、台本と一緒に声を当てるときに使う映像も配布されます。
演技の練習
台本と映像をもとに事前練習を行います。俳優の口に合わせた練習をします。
また、映像には自分のセリフが何分何秒なのかが分かる「タイムコード」が入っているので、台本にメモしておきます。
音響監督からの説明
音響監督から演出方針の説明があります。
テスト
演出方針の指示を踏まえ、ヘッドホンで原音を聞きながら演技を行います。
映像と台本を交互に見ながら進めていきます。マイクの立ち位置などの確認も行います。
本番
音響ディレクターから演技の修正を受け、本番となります。
NGが出た場合は最後に録り直しをして終了です。
2時間ある映画の収録でだいたい丸1日かかります。
アニメとの違いと外画吹き替えのポイント
外画の注意点
注意しなければならないのは、外画の吹き替えはもうすでに完成しているものにセリフを当てていく、ということです。
つまり、何もないところに1から声を吹き込んでいくアニメとは違い、元の演技を意識して役作り・演技をしていかなければなりません。
外画は実写なので、役者の細かい表情やテンションの変化を読み取り、そこから自分の演技にしていく必要があります。
また、誇張されたアニメの演技とは違い、吹き替えの場合は自然な演技を求められることが多いです。
吹き替えのポイント
吹き替えのポイントは“ブレス”、つまり息継ぎの場所です。もとある映像とブレスの位置を合わせないとちぐはぐな映像になってしまいます。
他に気をつけたいのは、セリフの語尾、最後の口の形です。
あ、い、う、え、お、と母音を口に出すとそれぞれ口の形が変わります。
「〜です」→口の形は「う」
「〜だ」→口の形は「あ」
台本には「〜です」と書かれているのに映像では「う」の形で終わっていない、ということがあります。
それぞれの言語によって語尾の形が変わってくることは当然なので間違いではありません。
しかし、より自然な演技を目指すのであれば、口の形に合わせてセリフを変えるなど、気をつけたいところです。
セリフを変えるのは監督の許可が必要なので、新人のうちは勝手なことはできませんが、方法の一つとして覚えておきたいですね。
アニメのアフレコと外画の吹き替えには細かな違いはありますが、演技をしながら声を当てていくという点では同じです。
外画吹き替えの特徴を理解したうえで、自分の演技をしていくことが大切です。
自分の演技力を高めるためには、プロの指導を受けることが一番の近道です。
専門学校に進学することで、同じ夢を持った仲間たちとともに高度な声優の指導が受けられます。
細かいところまで意識して演技ができる、そんな声優を目指したいですね。