「アニメが好きだから、本格的なアニメを作ってみたい」
「でも、アニメーターに必要な道具には何があるの?」
このように思ったことはありませんか?
そこで本記事では、アニメーターが使う道具をデジタル作画・アナログ作画別に解説します。また、持っていると便利な道具についても、あわせて紹介します。
アニメーターが普段どんな道具を使っているかが分かり、仕事内容をより具体的に思い描くことが可能です。
ぜひ最後までご覧いただき、アニメーターの仕事をより深く把握してみましょう。
記事の概要
アニメ業界に興味のある方へ
アニメーターがアナログ作画で使う道具7選
アニメーターがアナログ作画で使う道具を紹介します。
それぞれ詳しく解説します。
①トレース台
「トレースボックス」、「ライトボックス」とも言い、トレース台の光で作画用紙を透かせて使い、複写する際に必須の道具です。アニメーションの歪みチェックや、スクリーントーンを貼る時にも使われます。
使っている作画用紙より、ひとまわり大きいトレース台を選ぶと、作業がスムーズです。また、トレース台のライトがLEDのものを選ぶと、熱を発しにくいため、夏でも快適に作業できます。
制作現場によっては、トレース台の機能を持つ作画机を用意しています。
②タップ
タップとは、作画用紙を固定するために使う、棒状の道具です。
作画用紙の穴にタップをセットして使います。タップの厚さは、薄い方が使いやすい分、値段が高くなります。
③作画用紙
アニメの絵を描くには、専用の作画用紙が必要です。原画用と動画用に分かれており、原画用紙は薄くて透明です。
作画用紙は、3つ穴が空いています。作画した絵がずれないよう、後述する「タップ」で紙を固定するためです。
アニメ1話につき、およそ3,000枚に及ぶ作画用紙を使います。作画用紙は、100枚もしくは500枚単位で売られていることがほとんどです。制作現場では、作品ごとに支給されます。
アナログとデジタルでは、作画用紙のサイズが異なります。個人的に購入する際は、買い間違いに注意しましょう。
④鉛筆・色鉛筆
アナログ作画の場合、鉛筆は必ず必要な道具です。
鉛筆は線を描く時、色鉛筆は影やハイライトで使います。ハイライトとは、光が当たって明るく見える部分を指します。
人によってこだわりがあったり、制作会社で使う鉛筆が指定されていたりします。
芯の硬さや、メーカーによって書き味も変わります。用途に合わせて何本か持っておくと、使い分けができて便利です。
⑤鉛筆削り
鉛筆で絵を描く以上、鉛筆削りも欠かせません。楽なのは電動の鉛筆削りです。
鉛筆の尖らせ方にこだわって、手動の鉛筆削りを使う人・カッターで削る人もいます。
⑥消しゴム
アニメ制作で使う消しゴムは、キレイに消せること、細かい箇所が消せることが必須の条件です。
他にも、少しの力で消せて疲れないもの、折れたり欠けたりせず丈夫なものが好まれます。
疲れにくい電動タイプや、細かい箇所を消しやすいスティックタイプを愛用する方もいます。
⑦定規
定規はエフェクトや機械などの直線を描く時に使用します。
定規をあてて紙をカッターで切ることもあります。そのため、金物やステンレスなどの刃物に強い定規だと長持ちしやすいです。
15cm定規・30cm定規など長さ違いで持っておくと、描くものによって使い分けられて便利です。
アニメーターにとってあれば便利な道具6選
必須ではありませんが、アニメーターにとって、あれば便利な道具を紹介します。
それぞれ解説します。
①字消し板
字消し板は、特定の細かい箇所を消す際に使います。ダイヤ型・細い線状など、いろいろな形に穴が空いている、プレート型の道具です。
少しだけはみ出してしまった線を消す際に重宝します。
プレート部分がメッシュタイプのものは、絵が透けて見えて便利です。他にも金属製、プラスチック製のものがあります。
字消し板が薄いと、指が切れやすくなるため、少し厚みがあるものを選ぶと安心です。
②羽ぼうき
消しゴムのカスをはらう道具です。手ではらうと消しカスが残ったり、描いた絵がこすれて紙が汚れてしまいます。羽ぼうきを使うことで、手ではらうよりキレイに消しカスをはらうことが可能です。
使いすぎると鉛筆で描いた線がかすれ、紙が汚れてしまいます。力加減・使う頻度に注意して使いましょう。
③手袋・アームカバー
アニメーターの中には、手袋やアームカバーを使う人がいます。理由としては、手や服を汚さないため、手汗や皮脂で紙を汚さないためです。
特に、芯の柔らかい鉛筆を使うと、鉛筆のカスで手や服が汚れる恐れがあります。
アニメーター専用の手袋やアームカバーは、特にありません。自分に合った手袋やアームカバーを見繕って使いましょう。
手袋やアームカバーの代わりに、不要な作画用紙を手の下に敷く人もいます。
④クリップ
用紙を束ねたタップを外す時、中割りをする時にクリップで固定します。中割りとは、原画と原画の間をつなぐ画のことです。
例えば、大きく手を振るシーンで、手の振れ幅の右端と左端の手を描いた原画があるとします。この時に、手を振っている動きを表現する画が中割りです。
中割りの位置を決めるためには、原画を重ねます。この時にクリップがあると便利です。他にもタップを使えない時に、作画用紙を留めるために使うこともあります。
⑤円定規・雲形定規・自在曲線定規
円定規・雲形定規・自在曲線定規を使うと、キレイな曲線を描けます。ただし、一ヵ所だけに使うと、他の曲線が雑に見えてしまいます。使うならすべての曲線に使いましょう。
円定規は円がキレイに描ける定規、雲形定規は定規の形が雲の形になっています。
自在曲線定規は、名前の通り、自在に形を変えられます。そのため、自分のイメージした通りの曲線を描くことが可能です。
フリーハンドでキレイな曲線が描けると作業が効率的に進むので、あえて定規を使わない人もいます。
⑥穴あけパンチ
タップ用の穴を空けるための穴あけパンチです。作画用紙ではない練習用の紙に、タップ用の穴をあけるために使います。
「作画用紙は高くて練習用に使えない」という方は、タップ用の穴あけパンチを使って、作画用紙の代わりに使いましょう。
ただ、タップ用の穴あけパンチも30,000円ほどかかります。穴をあける位置も正確とは言えません。
練習用の紙を作るのに、30,000円も払う必要があるか、よく考えて購入しましょう。
アニメ業界に興味のある方へ
アニメーターがデジタル作画で使う道具2つ
アニメーターがデジタル作画で必要な道具を、2つ紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
①液タブ(液晶ペンタブレット)
デジタル作画に欠かせないのが、ペンタブレット。
液タブでは、専用のペンを使って液晶にそのまま画を描いて使います。紙に画を描く感覚で使えるため、慣れやすいことがメリットです。
板タブに比べると価格は高くなります。パソコンに接続して使うため、パソコンに求められるスペックを確認しておきましょう。
②板タブ
パソコンの画面を見ながら、机上の専用の板に絵を描くタイプのタブレットです。視界が広くて描きやすい点、液タブより価格を抑えられる点がメリットです。
ただ、画面を見ながら板に絵を描くため、慣れるのに時間がかかる方もいます。
筆圧や傾きを認識する板タブを選ぶと、上達しやすくなります。
アニメーターがアニメ制作時に使用するソフト7選
アニメ制作時に使うソフトを7つ紹介します。
それぞれのソフトの特徴を覚えておきましょう。
①Harmony
Harmonyはアニメ制作のすべての工程を担えるソフトです。
特に、アニメーション制作に強みがあり、3Dアニメの制作ができます。3Dカメラ機能による奥行きのある表現や、2Dと3Dを組み合わせたアニメ制作が可能です。
Harmonyには、以下3つのバージョンがあります。
- 入門版のEssentials
- 制作現場で使えるAdvanced
- 高度なアニメ制作ができるPremium
アニメ制作で有名なディズニーや東映アニメーションも使う、信頼できるソフトです。
②CLIP STUDIO PAINT
CLIP STUDIO PAINTも、ほとんどのアニメ制作が行えます。中でも、イラスト制作を得意としており、以下の機能を備えています。
- デッサン人形を用いてラフが描ける
- 線画の手ブレ補正が可能
- ドラッグした箇所を塗りつぶせる
初心者から上級者まで、あらゆる層が使うデジタル作画ソフトです。
③Stylos
Stylosは原画・動画・一部の仕上げまで対応できるソフトです。後継のCLIP STUDIO PAINTに置き換わりつつあります。
PaintMan
仕上げに特化したソフトです。StylosとPaintManは同じ会社が制作しているため、一緒に使われる機会が多いです。
④TVpaint
絵コンテから撮影までの工程を手がけられるソフトがTVpaintです。実際は作画のみに使用されることが多く、PaintManと併用されることもあります。
⑤Adobe Animate
Adobe Animateは、2Dアニメーションソフトです。アニメーションを作成して動かせます。
Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorなど、Adobeの他のソフトで作ったコンテンツを、アニメーションにすることができます。
⑥Adobe Character Animator
Adobe Character Animatorは、キャラクターの作成と動きに特化したソフトです。
Adobe Animateと同じく、Adobeの他のソフトで作ったキャラクターを、アニメーションにすることができます。
Adobe Animateとの違いは、以下の通りです。
- 自分の身体の動きをカメラにトラッキングさせてキャラクターを動かせる
- 音声を認識することで表情を変えられる
Adobe Character Animatorを使えば、よりリアルな動きをアニメーションで再現できます。
アニメーターの道具を使いこなすには
アニメ制作には、馴染みのある文房具から、アニメーター特有の道具までさまざまな道具を使います。また、デジタルソフトの中には、見慣れないものもあったと思います。
紹介した道具を使いこなしてアニメーターになるには、専門学校で学ぶのがおすすめです。
専門学校であれば、絵を描く時の基礎や理論から体系的に学習します。さらに、分からない部分のフォローや、プロの技術を肌で感じられる機会があります。
専門学校なら、本や動画で独学するよりも早い上達が可能です。本格的に腕を磨きたい場合は、専門学校に通うことをおすすめします。
アニメーターの仕事内容や必要なスキル、アニメーターになるまでのステップを以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
【保存版】アニメーターとは!内容や年収、必要な4つのスキルを解説
アニメーターを目指すなら、専門学校で学ぶのがおすすめ
この記事では、アニメーターが使う道具について解説しました。
紹介した道具を最初からすべて揃える必要はありません。アニメ制作を学んでいく中で、必要だと思ったものを購入しましょう。
なお、本気でアニメーターを目指す場合は、プロから指導を受けられる専門学校がおすすめです。
数ある専門学校の中でも、東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校の「デジタルアニメ制作&テクノロジー専攻」では、アニメーターになるために必要なスキルを身につけることが可能です。
4年間みっちりとアニメ制作を学べます。デジタルアニメーターやCGアニメーターなど専門的なアニメーターを目指すことも可能です。
産学連携プロジェクトで、より実践的な力を身につけるチャンスもあります。